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患者さんの体験談~一病息災~

第12回

田中 雄司さん(たなか ゆうじ:1967年生、公務員)

 

「時間を有効利用できる夜間のみの腹膜透析は、最善の選択でした。“普通の生活”ができています」

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田中 雄司さん ’67年神奈川県横浜市生まれ。
市内在住。横浜市役所勤務。
’02年、職場の健診で腎不全がわかり、約1年の食事療法を経て、透析を導入し約3年半。夜寝ている間に治療をし、昼間はお腹に透析液を入れておくだけという夜間のみの腹膜透析を選択。
朝、透析終了時刻の6時半に起床し、7時半に出勤、夜は8時前後に帰宅後、9時半より透析開始。
テレビや読書などでゆっくり過した後、睡眠という規則正しい生活を送る。
職場の検診でたんぱく尿が 長年の偏った食生活のせい?

ちょうどワールドカップのときですから、2002年ですか。職場の健診でたんぱくが出て、検査したほうがいいといわれ、横浜市立大学附属病院を紹介されたのです。以前にも何度か少しずつ出たことがあったのですが、病院で詳しく調べると正常値に戻っていて「大丈夫」だと。それで放っておいたんですね。それが急に数値が上がってしまい「あれ、そんなに?!」。まったく思い当たるフシがないです。

仕事は忙しかったけれど、特別自覚症状もなかったし。ただ、学生時代より25キロも太ったんですよ。10年あまりの間に。いま思えばそれが原因の一つじゃないかと。身体も動かしていましたが、仕事も忙しく、とにかく脂っこいもの、味の濃いもの、好きなものしか食べなかった。35年間、好きなものを好きなだけ食べて、飲んで。そんな生活のツケが回ってしまったのかもしれませんね。

病気と同時期に結婚、不安より驚きのほうが強かった

それから約1年間、食事療法と服薬を続けました。実は、病気がわかったのが結婚の年。それも結婚式の直前に腎生検で入院したので、式の打ち合わせやら何やらも、ぜんぶ妻任せ。「だまされた」といわれています。そんなの聞いてない、って話ですよね。そんなこといったって、本人も聞いてないんだから(笑)。

共働きなので、家事は早く帰ってきたほうがするのですが、私が料理をつくると、どうしても好きなものに偏るし、味付けも濃くなってしまう。身体を動かすためには食べなければならないけれど、たんぱく量を考えると、どうしても手っ取り早く量を減らしてしまうし。食事療法で苦労したのは、やっぱり妻のほうだったでしょうね。おかげで、やっと20代半ばの頃の体重に戻りましたが。

透析中はぐっすり睡眠、心配なのは寝相だけ

最初、透析といえば週3回の血液透析しか頭になかったものですから、なんとか先に延ばしたいと、そればかり考えていました。1年たって、透析の準備に入るときに初めて、「腹膜透析」という方法があると知ったのです。しかも、自宅で夜寝ている間に治療ができて、昼間はお腹に透析液を入れておくだけで、特に何もする必要はない方法があると聞き、夜だけなら仕事にも差し支えないなと。担当医からもOKが出たので、’04年に導入しました。いまはとくにトラブルもなく、順調に過しています。治療は、夜9時半から9時間、朝6時半までです。ときどきチューブが折れ曲がってアラームが鳴るのですが、ただ寝相が悪いというだけ。

最初の入院中も自分では心配していたんですが、病院のスタッフは「いや、よく寝てますよ」(笑)。ふだん心がけているのは、風邪を引かないよう注意することと、適度な運動かな。平日はエレベーターを使わず、休日は散歩。旅行にも年2回は行きますし、ゴルフの練習場にも通っています。これといって不自由は感じませんね。あるとすれば、急な飲み会の誘いにのれないことと、好きなナイター観戦が長引くと、最後まで横浜スタジアムにいられないことぐらいでしょうか。もちろん、家に帰ってセットしてから、ゆっくりテレビ観戦すればいいわけですけどね。

「普通に生活できている」家族がくれたうれしい一言

夫婦ともあまり深く考えないタイプなんですよ。考えても先にすすまないですから。いま一番いいと思える状態で毎日を過すというだけで。先日、両親と話しているとき、母に「いいんじゃない、普通に生活できているんだから」といわれたんです。ああ、そうだなあと。朝起きて、仕事へ行って、外食もできるし、お酒も少しなら飲めますし、遊びも旅行もできる。

生活パターンを考えても、むしろ病気になる前よりずっと規則正しく健康的。それが一番だなと。透析治療をしていることで、不便なこともあるのは事実ですが、何より、そんなふうに親にいってもらえたのは、非常にありがたかったですね。そういう意味でも、この治療法を選べたことは、とてもよかったと思います。時間を有効に使えるというのは、日々生活していく上で、すごくウエイトが大きいですから。私にとって最善の方法だったと思っています。

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