山形県生まれ。埼玉県川越市在住。
勤務先の健診で、慢性腎炎と診断される。以来、投薬と徹底した食事療法で23年という長い保存期の後、10年ほど前に血液透析(HD)を導入し、現在に至る。
5年前からNPO埼玉県腎臓病患者さん友の会事務所に勤務。副会長として、同病患者さんの支援に活躍する。
会社の健診で慢性腎炎がわかってから、とにかく絶対に透析に入りたくなくて、一日延ばしに23年。食事管理が大変でした。クレアチニン値が2.8ぐらいになったとき、主治医から、たんぱく質を一日約40gに抑えなさいといわれたのですが、どんどん悪くなるばかりなので、勝手に20gに減らしちゃって。
どうしても外食しなきゃいけないときは携帯の計算機と小っちゃい量りと成分表を持ち歩いていました。20gを1gも超えないようにしていましたから。でも、そうなると食べるものがない。もう栄養失調状態ですよね。脚はむくむし、顔は黒ずんできて、入院したらと周囲からもいわれるのに、自分ではまだ大丈夫だなんて。そうして23年目、ついに主治医が「もう僕の手には負えない。病棟でお会いしましょう」と。
初めは腹膜透析(PD)を希望したのですが横隔膜に穴があいていてうまくいかず、3ヵ月ほどで血液透析(HD)に。透析室の前に入室待ちで並んでいるとき、突然涙がポロポロと。なぜだかわからない。たくさん本を読んで勉強したはずなのに。毎回、泣きながら透析を受ける日々が続きました。
ところが、2年ほどたったあるとき、泣いてばかりの日々が嘘のようにふっと気持ちがラクになったんです。その後はもう毎日を楽しむことばかり考えて早や10年余。いまでは透析中、お友達とおしゃべりして爆睡して、看護師さんに揺り起こされる日々に(笑)。けれど、あの涙は何だったのでしょう。心身ともに切り替えられるまでに、2年かかったということでしょうか。
透析についてもっと知らなくてはと思い、講演会や勉強会にも参加しました。NPO東腎協の個人会員になり、いろんなことを勉強させてもらいました。いつかは同じ病気の方たちの役に立てたらと思っていたところ、お声をかけていただき、二つ返事でNPO埼腎友事務所へ入ったのが5年前のこと。尊敬できる同僚にも恵まれ、毎日気持ちよく仕事をしています。
体調はいたって元気。10年間数値も変わらず、ドライウエイトもほとんど増減なしです。自己管理には厳しいですから(笑)。ライフサイクルができ上がっているので、あまり苦にならないんですよ。おいしいものも少しの量でいいし、今日増やした分は、今日のうちに戻して明日を迎えるようにしています。たとえば、大好きなご飯のたんぱく質量は100g中2.6gだから、単純計算で、夜はこのくらい食べられるな、という具合。
若い方が透析に入らなくちゃならない状況になるのは、本当にお気の毒だけれど、元気で明るい生活を送るためには、ぎりぎりまで我慢しないで、といいたいですね。すぐではなくとも、先生に言われたら、シャントの準備をして、気持ちの整理がついたら、ぜひ早めに導入してほしい。そうすれば、自分の生活のリズムを早めに取り戻すこともできます。絶対に入らなくちゃいけないものなら、悩んでもしかたがないし、悪い状況を長引かせて、そればかりにとらわれるのはもったいないですよ。
それよりも、ほかにやりたいことを早く見つけたほうがいい。これから先、人生の時間の半分は、透析にとられるわけですから。導入してしまえばすごく元気になるし、仲間もいます。私もいまは、透析仲間との旅行が一番の楽しみ。主人が旅行好きなことも、長時間拘束される透析をためらった理由の一つなのですが、いまは留守番役です(笑)。

