「10月は臓器移植普及推進月間-望まれる臓器移植の普及」
毎年10月は厚生労働省が取り組んでいる臓器移植普及推進月間です。今年も、移植医療の象徴である「グリーンリボン」関連のイベントや第11回臓器移植推進国民大会、第18回全国移植者スポーツ大会など、臓器移植の啓発を目的としたイベントが、各地で開催されました。地域の腎臓病患者会の方々が街頭でドナーカードを配布するキャンペーンが行われるなど、草の根レベルでの啓発も進んできたように思われます。
臓器移植は、病気で機能を(ほとんど)失い回復が不可能な臓器の代わりに、提供を受けた健康な臓器を移植し健康を回復しようとする根治的療法です。日本での歴史は浅く、平成9年10月に「臓器の移植に関する法律」が施行され、脳死での臓器提供による移植が可能になりました。しかし、臓器の提供を希望する人に比べ、臓器を提供する人(ドナー)の数が極端に少ないのが現状で、およそ30年前から国民の理解や臓器斡旋のシステムを確立してきたアメリカやヨーロッパの移植先進国と比べ、日本の移植数は桁違いに少なくなっています。
臓器移植は、広く社会の理解と支援があって成り立つ医療です。臓器移植に対する一層の理解の促進が望まれます。
厚労省ホームページ:http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/09/h0930-2.html
本年、大きな話題となった臓器移植法改正ですが、選挙前の6月18日に可決されています。これによって「脳死は(一般に)人の死」と位置づけられ、本人が生前に拒否しなければ、家族の同意で臓器提供が可能になりました。また、15歳未満の臓器提供を禁じる現行法の年齢制限を撤廃し、子供の臓器移植にも道が開かれることとなり、臓器移植への注目が集まっています。
しかし、上述したように、未だ日本での臓器移植数は多いとはいえず、これは腎臓病の分野でも同様です。現在日本では、末期腎不全の方28万人あまりに対し、移植を受けられる方は約1200名(生体腎移植:約990名、献腎移植:約210名)と、腎臓移植の普及率は決して高いとはいえません。人口100万人当たりで比較すると、日本における腎移植の普及率はアメリカの約10分の1に留まります。
腎臓移植、血液透析(HD)、腹膜透析(PD)、の3つの腎代替治療のうち、腎臓移植は唯一の根治的治療で、成功すれば免疫抑制剤を飲む以外は普通の人と同じように生活することができるという明確なメリットがあるため、普及が望まれるのは言うまでもありません。
腎代替治療においては、患者さんに、血液透析(HD)、腹膜透析(PD)、腎臓移植の3つの療法について、きちんとインフォームドコンセントされることが重要です。それぞれの治療にはメリット・デメリットがあり、治療の選択肢を狭めないよう、普及率の低い移植や腹膜透析(PD)については一層の啓発が望まれます。

