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腎臓サポート協会とは

「腎臓教室」バックナンバー 71号

腎臓教室

  • 高血圧と血管合併症

 万病の元といわれる高血圧、腎臓病を引き起こす原因でもあります。現在、成人の二人に一人は高血圧で、その数は増え続けていますが、どうして高血圧がいけないのか?そして、その治療法について教えていただきます。

荻窪病院 副院長 循環器内科部長
石井 康宏 先生

  • 高齢社会と高血圧
 4人に一人が65歳以上の高齢社会である日本。日本人の高血圧人口は4000万人ともいわれています。年代別高血圧患者の割合(平成18年厚生労働省データ)をグラフに示します。男性女性とも年齢とともに増加すること、男性では40歳台ですでに4割近くいること、女性においても徐々に増加し、70歳台では男性を追い抜くことがわかります。

  • 高血圧と血管合併症

 通常風邪ですと、熱、咳といった症状がでます。日常生活に支障がでますので、みなさん薬を飲んだり、休養を取ったりしながら、治そうと努力します。一方、高血圧は、時に後頭部が重くなるといった症状がでる場合がありますが、通常は症状がでません。
 しかし、高血圧を放っておくと、血管合併症、すなわち、脳出血・脳梗塞といった脳血管障害、心筋梗塞・狭心症といった心臓病、腎硬化症・慢性腎不全といった腎臓病などを引き起こします。脳血管障害、心臓病は突然死もありうる怖い病気です。
 腎硬化症は腎臓の血管に動脈硬化が起こることで徐々に腎臓が硬くなってきます。透析導入に至る疾患として、腎硬化症は、糖尿病性腎症、慢性糸球体性腎炎に次いで、第3位であり、全透析患者の10%前後といわれています。よって、高血圧は症状がでないうちから早めに対処を考える必要があります。

  • 血圧が高くなる要因:オームの法則

 オームの法則を理科で習ったことがあると思います。有名な電圧=電流×抵抗(E=I×R)です。血圧も同じです。血圧=血流量×抵抗となります。年齢ととも血管は固くなり血管抵抗があがってきます。また、食塩摂取量が多いと水分過多になり、血流量も増加してきます。

  • 血圧測定

 適正な血圧の目安として、自宅血圧125/80未満、診察室血圧130/85未満といわれています。血圧を測る時間ですが、ぜひ起床時(起床後10~15分くらい)血圧を測ることをお勧めします。
 白衣高血圧に対して、早朝高血圧、仮面高血圧といった言葉があるように、早朝の血圧が高い方が結構います。夜は夕食後でも、寝る前でも構いません。ちなみに、飲酒後、入浴後の血圧は下がりますので、あまり高血圧の目安にはなりません。

  • 高血圧の治療法

 上記の目安に引っかかる方は、一度医療機関受診をお勧めします。個人により差がありますが、治療法は大きく分けて、食事、運動、薬物の3つです。

【1】 食事療法
 食事のポイントはなんといっても塩分です。日本人の1日平均塩分摂取量は11グラムといわれています。通常気にしないでいると15から20グラムとってしまいます。高血圧の方の塩分制限は1日6~7グラムまでといわれています。かけそば1杯を汁まで飲み干すと約6グラム、すなわち1日量に達します。味噌汁は一杯1~2グラムです。調味料以外にも、うどん、パンそのものにも塩分は含まれますので注意が必要です。
 体重管理も重要です。標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22で計算されます。一度ご自身の標準体重を計算してみてください。エネルギー摂取量は、軽労作(デスクワークが主な方など)の方で25~30kcal/kg×標準体重、普通の労作(立ち仕事が多い職業)の方30~35kcal/kg×標準体重、重い労作(力仕事の多い職業)の方で35kcal/kg×標準体重になります。

【2】 運動療法
 運動は急激な運動よりも、だらだらと30分以上続けられる、たとえばウォーキング、ジョギング、水泳などがお勧めです。週末にまとめてやるより、毎日あるいは週3回の定期的運動が理想的です。毎日の運動は時間的に無理、という方は、自転車通勤や、あるいは一駅分歩くなど、通勤など普段の生活のなかで運動方法を検討してはいかがでしょうか?
 その他、喫煙は血圧のみならず健康の点において百害あって一利なしですので、喫煙されている方は一刻も早くおやめください。

【3】 薬物療法
 薬物療法に関しては主治医の先生とよく相談してください。血圧の薬は何種類もあります。それぞれの患者さんに合った降圧薬を見つけていくことが必要です。自己判断による休薬・調整は危険ですし、主治医の先生との信頼関係が構築されませんのでお勧めできません。

  • まとめ

 先日厚生労働省から平均寿命(平成24年)が発表されました。女性は世界1位に返り咲き86.41歳、男性も過去最高を更新し79.94歳となりました。長生きがすべてではありませんが、ぜひ健康を保ちつつ、快適な生活ができるよう心掛けていきたいものです。

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