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患者さんの体験談~一病息災~

第8回

杉田 倶子さん(すぎた ともこ:1947年生、司会業)

 

「自分の病気のことを周囲の人に知っていただくのがどんなに大切か、震災のときに痛感しました」

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杉田 倶子さん 47年岡山県倉敷市生まれ。
兵庫県芦屋市在住。
25歳のとき、妊娠時の検査で慢性腎炎と診断される。
46歳でCAPDを導入。一時APDに切り替えたが、95年阪神大震災に遭遇し、CAPDに戻る。
50歳のとき、実兄より生体腎臓移植 を受け、現在に至る。
長女、次女は独立し、夫婦二人暮らし。在宅介護をしていた義母を昨年見送り、両親の介護のため、倉敷の実家を往復するかたわら、腹膜透析や腎臓移植 に関する講演活動などにも従事。司会業で培ったわかりやすい語り口が人気を呼んでいる。
病に屈せず二女を出産 子育てに無我夢中の日々

結婚後まもなくたんぱく尿が出て慢性腎炎と診断されました。出産は難しいといわれたのですが、どうしてもほしくて4年後に妊娠。全期間を絶対安静で入院し、出産1ヵ月後に無事、長女と一緒に退院しました。次女を産んだのはそれから1年半後。ただただ兄弟をつくらなければの一心で。無謀ですよねぇ。でも、子育て期間中は本当に楽しかった。PTAの役員など、母親業に熱中して10数年の間、体調が悪くても気づかないふりをしていたのです。

けれど、いよいよ腎機能が落ちてからは、透析が怖くて民間療法や健康食品など、あらゆる方法を試しました。あのときが人生でいちばん苦しかった。46歳でCAPDを導入したのですが、処置をした女医の先生に「辛かったら泣いてもいいんですよ」といわれたときは、張り詰めた気持ちが一気に崩れて。でも、始めてみたら、「こんなにラクなら早く導入すればよかった」。

透析中に襲った大地震 生命の大切さを知る

CAPDを選んだのは、家族とできるだけ一緒にいたかったから。針を刺すのが怖かったということもありますけどね。約4年間つづけましたが、その間に震災にあって。ちょうどAPDをしていた時期で、明け方終わる頃にグラッときて、機械の上にタンスが倒れてきたんです。最初、何が起きたのかわからず、階下の娘たちが「お母さん、キャップ!」と叫ぶ声で我に返りました。

毎日、「食事の前のPD」という具合に家族の前で透析をしていたので、娘たちも、キャップの大切さをよく知っていたのでしょう。幸い家族は全員無事でしたが、家は全壊。ぼーっとしていられない。とにかく透析しなくちゃならないので、すぐに家探し。水より何より先に住む家を確保して、バッグを届けてもらいました。このときはつくづくCAPDでよかったなと。大変だったけど、ハンディを持っていると、自分を守るには何が一番大事か、冷静に考えることができるんですね。その後、兄から生体腎臓移植 を受け、今は健康人と変わらず過しています。

できるだけ多くの人に、病気のことを伝えたい

移植からちょうど10年経ったところです。昨年の春、5年余りの在宅介護の後に義母を見送ってから、倉敷の実家に住む92歳と94歳の両親の介護に通いながら、腎臓移植 の会の役員や、市の身体障害者相談員などの仕事をしています。それから、移植後すぐに、プロのアナウンサーのセミナーで司会業を学び、結婚式、音楽会はじめ各種式典の仕事も始めました。自分の体験を人前で話したいという気持ちが募ったんですね。

震災のときも痛感しましたが、自分の病気のことを周囲の人に知っていただくのがどんなに大切か。たくさんの人の支えがなければ生きていけませんから。CAPDや移植の経験をできるだけ多くの人に伝えていくのが、自分の役割だと思っています。あ、こんどは介護の経験も話すことができますね。人との交わりの中で、想いを伝えていく。それこそ、生きていることそのものだと思う。忙しいけれど、とても充実しています。

かかりつけ医師には腎臓専門医を

CAPDを始めた頃、看護師さんにいわれたことがあるんです。「いつも家でやっている通り、簡単にやっているように見せて」。イヤイヤだったり、難しく考えたりせず、日常の中でなにげなくCAPDを習慣づける。それを他の腎不全患者さんが見て「そんなに簡単なの?ならやってみよう」と思ってもらうわけです。事実、当時の私は腹膜炎を起こしたこともないし、お腹の出口部もきれいだったので、腹膜透析をしているところも積極的に見せていました。

私自身もHDのお友達に腕のシャントを見せてもらって安心した覚えがあったので。以来、どんなときも、その看護師さんの言葉を思い出すようにしています。HD、CAPD、どの方法でもいい。自分の日常生活に一番ふさわしいものを選べばいいんです。もちろん移植登録も必ずしてほしいですし。ただ、信頼できる腎臓専門医を見つけること。折々に適切なアドバイスをもらいながら、悔いのない毎日を送りたいですね。

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