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患者さんの体験談~一病息災~

第11回

中島 由希子さん(なかじま ゆきこ:1950年生、団体職員)
HD→移植

 

「病気仲間からの『ファイト』という言葉、医療スタッフからの『大丈夫』という言葉で、絶望から立ち直りました。これからは一人でも多くの人に、命の大切さを伝えていきたい」

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中島 由希子さん 50年福岡県福岡市生まれ。
市内在住。
大学を卒業し、就職のための健康診断で、慢性腎炎と診断される。 7年後の29歳のとき、血液透析を導入。
以来25年、県腎連の事務局次長を務めながら、腎臓病治療の実情を見守り続ける。
04年に、母の生体腎臓移植 を受け、現在に至る。
水泳、登山、そしてホノルルマラソンと果敢に挑戦。福岡教育大学附属小学校で試みられている人間総合学習の一環「いのちの授業」では、元ゴダイゴの浅野孝己氏らとともに研究授業に参加。腎臓病に関する正しい知識の普及・認知や命の大切さについて、多くの人々に伝えることに力を注ぐ。
前途の光を失った日々、失望の日々から立ち直って

就職試験に合格し、入社前の健康診断の結果を見たとたん、健診センターの医師が「すぐに専門病院へ行きなさい」。何がなにやらわからないうちに、検査入院させられました。「就職は…?」「それどころじゃないよ」。当時、慢性腎炎は、悪化すれば死につながる病気といわれていましたが、最初はまったく自覚症状がなく、ただただ混乱するばかりでした。それからはひたすら安静に、「治りたい」という一心で、息をひそめ自問自答する毎日。

7年後の’79年に血液透析を導入したときは、正直いってホッとしました。生きられることの喜びのほうが大きかった。何よりも、たくさんの透析仲間と出会えたことが大きかったです。同じ病気で長期入院している中学生に、訪問教育で週1回、数学を教えたりするうちに、患者さん同士で支え合うこと、自己管理の方法や経験など、語らずとも共有し合うことで、孤独感が消え、だんだんと元気になったのです。

移植するつもりはなかったのに、思わずもらした一言

血液透析は25年続けました。ちょうど過渡期だったんですね。透析技術が飛躍的に進歩し、診療報酬などの法律も整備されて、たくさんの患者さんが、ふつうに日常生活を送ることができるようになったのです。実は、透析を始めた頃から、母はずっと「移植で元気になれるのなら提供していい」といい続けていました。私はそんなこと、まったく考えていなかったのですが。

ところが、あるラジオ番組で、臓器提供についてたずねられたとき、思わず「移植したいですね」と答えていたのです。私自身、現代の移植事情の進展ぶりが気になっていたのかもしれません。ラジオを聴いていた医療スタッフが「その気があるのなら」と、トントン拍子に話がすすみ、母の変わらない意思もあって、移植することに。いまから3年前のことです。

心と身体が一体化する 不思議な経験が自信に

移植後1年くらいたった頃、不思議な体験をしました。ある日、掃除機をかけていて、ふと身体が熱くなり、とても温かい気持ちになったのです。透析中も、移植してからも、何か自分の身体が自分のものでないようなところがあったのですが、そんな違和感が一気に消えてしまった。元気に過していたつもりでも、やっぱりどこかで病気を意識していて、心が身体を信頼しきれずにいたんですね。

それが、初めて一体化したような。「無理しなくていい、自然に生きていけばいい。それが健康というものなんだ」と、すべてのことに感謝した瞬間でした。ちょうどその頃、自身も1型糖尿病患者さんである医師に誘われ、母と一緒にホノルルマラソンの10キロウォーキングにも参加しました。移植者と提供者、一つずつの腎臓で元気に完歩できたと、また一つ自信がついたのも事実です。

子どもたちの素直な心に 染み透った命の大切さ

福岡市の小学校で行われている人間総合学習の「いのちの授業」に招かれて、腎臓の大切さ、学校検尿の必要性などについて、お話したことがありました。参加した生徒さんの感想文に「最初は命なんてどうでもいいと思っていたけれど、授業を受けるうちに、命って何だろうと考えるようになり、最後は、命のことをもっと知りたいと思った」という言葉を見つけ、胸が熱くなりました。子どもさんって、すごいですね。どんどん吸収して、素直に変わっていく。

いま、世の中には、目を覆うような事件がたくさん起きていますが、人間は変われるんです。真剣に向き合えば、周囲への感謝の気持ちや、健康のすばらしさを伝えることができる。最終的には人と人。病気仲間からの「ファイト」という言葉、医療スタッフからの「大丈夫」という言葉で、私自身が絶望から立ち直ったように、これからは一人でも多くの人に、自分なりの言葉で、命の大切さを伝えていきたいと思っています。

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