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患者さんの体験談~一病息災~

患者さんの体験談~一病息災~

腎臓病と共にイキイキと暮らす方々に、腎臓サポート協会理事長 松村満美子がインタビュー
(職業や治療法は、取材当時のものです)

第81回

伊藤 律子さん(いとう りつこ:1955年生まれ )
HD→移植

 


二転三転する診断の結果、膠原病から腎不全に
そして透析から腎臓移植へ、3年後、出産という夢を実現しました!

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1955年生まれ 59歳。25~6歳で高熱をだし、診断が二転三転した結果、膠原病からくる慢性腎臓病と診断された。30歳で血液透析導入、33歳で母をドナーに腎臓移植。ABO血液型不適合の腎移植2例目。38歳で男子出産。長年、輸血によるC型肝炎の治療を継続しながらも、移植26年の現在ではクレアチン0.7で元気に生活している。
夢がひとつ叶うと、またひとつ。移植によって出産という夢を叶え、次の夢は?!
OLをしているときに突然の高熱で入院。原因は難病の膠原病からくる慢性腎臓病で、20代を闘病生活で過ごしました。その間に腎不全と知ったうえで結婚、透析にはご主人が送ってくださったとか。透析生活3年目にある先生との出会いで腎臓移植を。当時の移植医療では難しいといわれていた血液型不適合での2例目の移植だったそうです。その後、男の子を出産。移植から26年、同じ時期に移植したお仲間が透析にもどっていくなか、クレアチニン0.7で、生着し続けています。

 

二転三転の診断の結果膠原病で腎不全に
二転三転の診断の結果膠原病で腎不全に
松村 移植する前がとても大変だったと伺っていますが?
伊藤 そうなんです。25~6歳のころでしたか、40度の高熱がでて、最初の病院では敗血症だといわれたんです。入院できる病院に移って点滴をしていただいたら、熱は引いたのですが、今度は腎盂炎だといわれました。
松村 まぁ、最初と違う診断だったんですか?
伊藤 ええ、全然違ったんです。
松村 怖いですね。
伊藤 ええ、それも慢性になっているということで、ステロイド治療をすることになりました。
松村 ムーンフェイスになりました?
伊藤 パンパンになりました。しばらく入院して検査をしていただいたら今度はネフローゼ症候群だといわれて、その後もいろいろな検査をして、最終的には全身性エリトマトーデス(膠原病)が原因で腎臓が悪くなったといわれました。
膠原病:全身の複数の臓器に炎症が起こり、臓器の機能障害をもたらす一連の疾患群の総称。

 

松村 どのくらいの期間、入院していたんですか?
伊藤 1年ほどは入退院を繰り返していました。毎日、具合が悪くて、ほとんど寝ているよ うな状態でした。どんどん悪くなって、30歳くらいで「腎不全だからそろそろシャントを作りましょう」といわれました。私は何も分からなくて先生のおっしゃるまま透析を開始したんです。
松村 それは、いつ頃で、おいくつ?
伊藤 1986年で、30才でした。
松村 その頃では血液透析(HD)ですね。週何回でしたか?
伊藤 週2回、3時間半でした。
松村 じゃ、少しは腎機能が残っていたんですね。どのくらい透析をしていたんですか?
伊藤 3年です。そのころ東邦医大から来てらした先生が、「今度、膠原病でも移植ができるようになりましたよ」とおっしゃって、「本当ですか?」「本当だよ、長谷川教授のところに行ってごらん」と、それが移植への第一歩でした。
神様の一言で腎移植 血液型不適合2例目
神様の一言で腎移植 血液型不適合2例目
松村 東邦医大の長谷川昭先生ですね。
伊藤 はい、長谷川教授に診ていただいて、「夢は移植をして子供を産むことです」と話し たら、「そんなことは夢じゃないよ」といってくださって、目の前がパッと開けた感じでした。その時のことは忘れられないですね。
松村 移植はどなたから?
伊藤 母からです。
松村 血液型は同じ?
伊藤 いえ、違います。私はB型で、母はAB型ですから。
松村 その頃はまだABOの血液型不適合の腎臓移植は珍しかったはずですよ。
伊藤 はい、私が2例目でした。手術前の処置がうまくいかなくて、前日までダメだといわ れていたんですが、朝一番に長谷川教授が「やるから!」と、まるで神様の一言です。
松村 すごい決断力。先生は自信がおありだったのでしょうが、あなたにとっては賭けみたいなことでしたね。
長年の夢が叶って普通分娩で男子を出産
長年の夢が叶って普通分娩で男子を出産
松村 今、何年目ですか?
伊藤 26年になります。
松村 ご結婚は?
伊藤 27歳のときです。
松村 では、ご主人は腎臓が悪いのをご存知で?
伊藤 ええ、知っていました。社内恋愛だったのですが、病院の送り迎えとかしてくれて、 やさしい人で。
松村 良い方と巡り会えて良かったですね。それでお子さんは?
伊藤 移植してから3年目の検診のときに、いつも話を聞いてくださる婦長さんが、「子供産みたいんだよね、経過もいいし、ちょっと聞いてきてあげるよ」といってくださって、「大丈夫っていってたわよ」ということで妊娠OKになりました。それから1年もたたないうちに妊娠して。
松村 それはすごい。
伊藤
ほんと、奇跡みたいです。でも、ステロイドを飲んでいたので、家族に猛反対されたんです。主人が「どんな子供が生まれようと天命だから、ふたりで力を合わせて育てよう」といってくれたおかげです。私一人ではとても決断できませんでした。
松村 お産は帝王切開ですよね。
伊藤 移植した場合は帝王切開でといわれていたんですが、子宮口が開いてしまって、あっというまに普通分娩で生まれました。元気な男の子でした。
松村 まぁ、なんてラッキーな。
伊藤 ええ、今考えると、よくあんなことできたと、少し怖くなります。若かったんですね。
松村 息子さんはお母さんがそんな思いで産んでくださったってご存知?
伊藤 ええ、よ~く言い聞かせています。
松村 お子さんはお一人ですか?
伊藤 はい、でも一人でも、透析をしているときは夢の夢で、夢で終わるんだろうと思っていました。みんなに「無理よ」といわれていたのが、子供を産んだという実感も持て、本当に信じられないくらいです。
松村 移植後の調子はどうでしたか?
伊藤 保存期のときに貧血がひどくて輸血をしたせいか、C型肝炎があって、このクリニックで週2回ミノマイシンの点滴を受けていますが、ほかはおかげさまで元気でやっています。
松村 C型肝炎は今では撃退できるのではないですか?
伊藤 肝臓のお医者様は撃退治療をやりましょうといってくださいますが、腎臓のお医者さまは、免疫抑制剤を飲んでいるのでバランスを崩したくないとおっしゃるので、点滴で何とかしています。
松村 自覚症状はあるんですか?
伊藤 疲れやすいとは思いますが、歳のせいもありますから。先生に「何か気をつけることはありますか?」と伺っても、「普通に生活してください」といわれてます。
ひとつ夢を叶えて次の夢をみる幸せ
ひとつ夢を叶えて次の夢をみる幸せ
松村 移植26年で、腎臓は問題がないのですね?
伊藤
おかげさまで、クレアチニンも0.7とか0.8で、何ともありません。 クレアチンは0.7です。まぁ、良好ですね。クレアチンは0.7です。
まぁ、良好ですね。
松村 それはなによりですね。
伊藤 ええ、でも悲しいことに、私と同じ頃に移植をなさった方はみな、透析に戻られてい るんです。
松村 26年ならそうかもしれませんね。でも移植して40年という方を知っていますよ。今の状態なら、きっと一生大丈夫ですね。腎臓をくださったお母様はその後はお元気で?
伊藤 ええ、今は肝臓がちょっと悪くて入院してますが、腎臓はまったく問題ありません。腎臓ひとつで今年の3月で87歳になりました。私たち夫婦は私の実家に入ったので、腎臓をもらっただけでなく、保存期の頃から、お産も子育ても、母には世話になりっぱなしです。
松村 そうですか。こんなにお元気で、お孫さんにも恵まれて、お母様も腎臓をあげた甲斐がありましたね。
伊藤 皆さんのおかげです、夢が叶ったのは。人との出会いのおかげで、運命的だと感じています。移植を勧めてくださった先生、お産を勧めてくださった婦長さん、どんなときも長谷川教授の「大丈夫!」という言葉に励まされてきました。いつも支えてくれた主人や母にも本当に感謝です。心残りは、移植を勧めてくださった先生にお礼がいいたいのですが、どちらの先生かお名前を覚えていないのが残念です。
松村 この記事を読んでくださって、わかると良いですね。
伊藤 ええ、本当に。
松村 これからの夢は?
伊藤 今の夢は、健康でいたいだけですね。
松村 今度はお孫さんの世話をしたいとか?
伊藤 それは大いにありますね。ひとつ夢が叶うと、またひとつ夢がわいてきます。孫のお守りをしたいというのが次の夢でしょうか!

 

インタビューを終えて
伊藤さんが腎臓移植をなさった時期は、血液型やドナーの年齢など超えなければならないハードルがたくさんあったかと思います。ドナーになられたお母様は当時は60歳代だったとのこと、今では当たり前ですが、当時はチャレンジだったでしょうね。先生方や周囲の方々に深く感謝してらっしゃる姿に、先生を信じて治療に一生懸命だった当時の伊藤さんの姿が彷彿とします。本当にたくさんの良い出会いに恵まれて良かったですね。お母様やご主人様を大切に、次の夢もぜひ叶えてくださいね。
 

 

 

 

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