腎機能低下と性的欲求の低下は関連がありますか – 腎臓サポート協会WEB
透析治療に関して

腎機能低下と性的欲求の低下は関連がありますか

相談者
血液透析、54歳、男性
相談内容
血液人工透析を始めてまもなく一カ月です。腎機能が落ちてきたと一昨年ごろより感じておりましたが、太ももの体毛が薄くなり、性的な欲求に勃起が伴わなくなりました。腎機能の低下とこれらの症状とは関連性があるとの事をあるところで読みましたが、回復させる道はあるものでしょうか?
回答
ご質問の症状(インポテンツ)は、日本人の妻帯男性205例(年齢:21~81歳、平均48.3歳)の透析患者(透析歴2カ月~19.9年、平均6.6年)を対象に実際に調査した結果によれば、性交頻度は同年代の男性6,426例と比較すると一目瞭然に少ないことが判っています。
さらに外国の透析患者では、陰茎の勃起の不完全を自覚する頻度が、50歳未満で63%であるが、50歳以上ではさらに多いと報告されております。
さらに陰茎周囲増加値を実測した報告では、健常者でも年齢の増加(30歳代→60歳代)に伴い少しづつ低下するものの、透析患者では40歳代から急速に低下幅が増加し、インポテンツ域に入る頻度は40歳代27.5%、60歳代で52.0%に増加します。

インポテンツの原因は多彩で、前立腺などの手術や放射線療法による神経や血管の損傷でも起こりますが、単に自律神経障害でも起こります。エリスロポエチンが登場してからインポテンツが減少したことから、高度の貧血も原因の一つと考えられました。さらに男性ホルモン(テストステロン、ゴナドトロピンなど)の低下も原因として想定されました。
しかしインポテンツは糖尿病でも良く出現します。ですから単に腎不全だけが主因であると決め付けることはできません。腎不全や糖尿病などでは、何らかの非生理的物質の蓄積や、逆に生理的物質の不足が誘因になることも想定されています。

中でも特に、血管内皮細胞から放出される血管拡張因子(NO)を介したcGMPと言われる物質の低下が、強く疑われるようになりました。このcGMPを分解処理しているPDE5と呼ばれる酵素の働きを邪魔して、結果的にcGMPを長く作用させる薬が登場しました。それが「バイアグラ」などの薬剤です。
わが国ではこの種の薬は3種が保険薬として認可使用されておりますが、レビトラ(vardenafil)は透析患者では使用禁忌ですので、実際には透析患者ではバイアグラ(sidenafil)とシアリス(tadalafil)の2種が使用されています。しかしこのふたつの薬剤とも、中等度~重度の腎機能障害では副作用を避けるために、使用量を減らしたり間隔をあける配慮が必須となります。

十分な知識と経験のある医療機関で処方を受けることが重要です。
エリスロポエチンで貧血を十分に改善した上で、この新しい治療薬の使用を主治医とご相談なされては如何でしょうか。