透析をする前に移植はできるのでしょうか? – 腎臓サポート協会WEB
移植に関して

透析をする前に移植はできるのでしょうか?

相談者
64歳、女性(相談者:患者家族)
相談内容
64歳になる妻ですが、26年前に「IgA腎症」と診断され、以来薬を飲み続けています。昨年末頃からBUN・クレアチニンの値が一気に上がり、栄養指導を受けることになりました。血液透析も昔に比べればだいぶん楽になったように聞きますし、腹膜透析もあると言うことで、患者本人は余り心配はしていないようですが、出来ることであれば、しんどい思いをする前に私の腎臓を移植してあげればと考えています。順序として移植は透析をしてからということになるのでしょうか?
回答
結論からお話ししますと移植は可能であると思います。
透析をしないで腎移植を行うことをpreemptive 腎移植(未透析または先行的腎移植)と言います。ご相談のかたは年齢、Cr、女性からeGFR=5.8ml/min/1.73m2と計算がされ、ステージ5腎不全と診断されます。未透析移植ではeGFRが20ml min/1.73m2から準備を始め、15 ml min/1.73m2では療法選択と言って血液透析をするのか腹膜透析をするのかそれとも腎移植を受けるのか選択をしなければなりません。ご相談の方はすでにその時期に入っていますので、移植がご希望ならば、すぐに移植施設に相談され、準備を始めなければいけません。
移植は可能とお答えしましたが、それにはいくつか条件があります。先ず夫婦関係を証明する書類、本人と確認できる写真つきの証明書が必要です。またリンパ球交叉試験を受けてT細胞性交叉試験が陰性であることが絶対的な条件になります。またご主人から奥様への移植になると、妊娠や流産があった場合、輸血をしたことがある場合では、通常のリンパ球交叉試験(リンパ球細胞障害性テスト)では感度が鈍く、フローサイトメトリ交叉試験を行いT細胞性交叉試験が陰性であるのを確認することが薦められます。またご主人が腎臓提供の意思がありますので、大丈夫ですが、精神科医やコーディネーターに意思確認されることが必要です。
それらの手続きを行った後、奥様の検査を行い、腎移植ができる状態かを確認します。現在はカリウムが正常値であることから尿がある程度出ていることが想像されますが、BUNが91.5であるために、そろそろ尿毒症症状が出始める時期ですので、早めに検査をしないと間に合わなくなります。場合によっては透析を何回かして、全身状態を良好にしてから移植をしたほうがよいかもしれません。お二人で腎移植の施設に行き、すぐにも相談することが必要でしょう。血液型が異なっていでも今は腎移植可能ですので念のため。また食事療法(タンパク制限)を徹底してBUNがこれ以上上がらないように注意すべきです。