腎臓教室 Vol.8
どこが違うの? 腎臓病の食事
腎臓病患者さんの最大の関心事、食事について、昨年のセミナーにも参加してくださった京都社会事業財団西陣病院栄養科科長・木村美枝子先生にお話をうかがいました。すぐに実行できる食事療法のポイントもぜひ参考にしてください。
食事療法の基本は? | 外食は控えましょう! 保存期慢性腎不全 |
水分に注意! 血液透析(HD) |
糖分に注意! 腹膜透析(CAPD/APD) |
食塩 | 1日7g以下 | 1日7~8g | 1日7~8g |
水分 | とり過ぎに注意 | ドライウエイト1kgあたり 飲水は15mg以下に |
やや制限必要 |
タンパク質 | 標準体重1kgあたり 1日0.6g以上0.7g未満 (厳しい制限) |
標準体重1kgあたり 1日1.0~1.2g |
標準体重1kgあたり 1日1.1~1.3g (やや多め) |
総エネルギー | 標準体重1kgあたり 1日35kcal |
標準体重1kgあたり 1日30~35kcal |
標準体重1kgあたり 1日29~34kcal(やや少なめ) |
カリウム | 血清カリウム値が 5.5mEq/l以上ならすぐに制限 |
1日1.5g | 1日2~2.5g |
リン | 血清リン値が5mg/dl以上なら 制限の必要あり |
1日700mg以下 | 1日700mg以下 |
※標準体重は実際の体重(現体重)とは異なります。
標準体重(kg)=22×[身長(m)]2 例)身長165cmの人の標準体
重=22×(1.65×1.65)=59kg
これだけはおさえておきたい食事療法のポイント!
自分の検査データを、しっかり見る(NPO法人腎臓サポート協会発行の検査値ガイドを参考にしてください)。- 食事を1週間単位で考える(目標を立てて様子を見ます)。
- 野菜料理のおいしさを追求する(調理法を工夫して、野菜中心の食生活に)。
- エネルギー確保をしっかりするために・・・
- 1日1,800kcal~2,000kcalが理想
- 油は強い味方。1日1品は揚げ物や炒め物を。
- 主食をしっかり摂る。(おにぎり2コで約320~400kcal)
- タンパク質の上手な摂り方の目安は・・・
- 保存期の場合(1日につき2品)
卵1コまたは豆腐1/4丁 + 魚1切(60g)または薄切り肉2枚(60g) - HD、CAPDの場合(1日につき3品)
卵1コまたは豆腐1/4丁 + 魚1切れ(40g)+薄切り肉2枚(60g)
- 保存期の場合(1日につき2品)
- 塩を控えるには・・・
- 汁ものは1日1杯
- めん類の汁は飲まない
- 塩蔵品(干物、漬物、佃煮など)は週1回
- 味つきのごはん(炊き込みごはん、寿司など)は週1回
- 市販食品の表示を確認しましょう
(ナトリウム量×2.54/1000=塩分の目安) - 酢、ケチャップ、マヨネーズなどの比較的塩分の少ない調味料や香辛料、レモンなどの柑橘類を活用しましょう。
– だしの旨みイキイキ、これさえあれば塩分調整もバッチリ –
オリジナルだしじょうゆの作り方
だし(昆布、カツオ節、干ししいたけ、煮干など)1L+薄口しょうゆ50cc+みりん50cc
塩分は10g、冷蔵庫に保存して2日間で使い切ります。 - カリウム値が高いと言われたら・・・
- 生もの(果物、刺身)は食べない。
- 低タンパク食を実行していれば心配はありません。
- 参考:健常者の目標摂取量は2~4g/1日です。
- リンの摂取量の目安は・・・
- タンパク質1gに約12~14mg含まれています。
- 低タンパク食を実行していれば心配はありません。
- 参考:健常者の目標摂取量は1,300mg/1日です。