糖尿病性腎症1

糖尿病になってから10年ぐらいの間に糖尿病性腎症を発症する患者さんが多いといわれています。糖尿病のコントロールが悪く、高血糖が続くと腎症の進行は早くなります。

糖尿病性腎症の経過

糖尿病性腎症の経過

糖尿病によって腎臓が悪くなり、最初に現れる症状はたんぱく尿です。
しかし、その量にも段階があります。

微量たんぱく尿期

ごく初期の段階では、微量のアルブミン(たんぱくの一種)尿のみが検出されます。
その量は、ふつうの尿たんぱくの定性検査ではわからないほど微量ですが、このときに厳格な血糖コントロールを実行すれば、腎症への進行を食い止めることも可能です。したがって、尿たんぱくの一部を占めるアルブミンを、ごく微量のうちに測定し、より早く異常を発見し治療を開始することが重要です。

顕性たんぱく尿期

個人差はありますが、微量たんぱくが出始めて3~5年のうちに、大量のたんぱく尿が出るようになります。といっても、最初は多かったり少なかったりしますが(間欠性たんぱく尿期)、やがて、常に出るようになり(持続性たんぱく尿期)、腎臓の機能は著しく低下してきます。この時期を顕性腎症期といい、すでにかなり腎症が進行していることを示しています。

ネフローゼ期

さらに放置しておくと、尿中のたんぱくはさらに大量になり、血液中の<たんぱく質が減少します。むくみが出るとともに、高コレステロール血症(脂質異常症)など、ネフローゼ症候群と呼ばれる諸症状(高血圧)を呈してきます。

腎不全期

腎臓の機能がさらに低下し、正常の5~10%にまで低下すると透析療法が必要です。一般に、糖尿病性腎症の患者さんは、透析療法へ移行する時期がほかの腎臓病の方と比較して早いといわれています。それは、糖尿病によるさまざまな合併症を併発している場合が多いためです。
現在、日本における糖尿病性腎症からの透析患者さん数は、新規の全透析導入患者さんの40%を超えるまでになっています。

糖尿病性腎症の経過のたどり方

糖尿病性腎症の経過のたどり方

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