患者さんのためのコミュニケーション講座

【第4回】「よりよい関係づくりはあなたにも責任が」「自覚症状と病歴はあなたを伝える大切な情報」

事務局長 山口育子さん

お話 NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML 事務局長 山口育子さん

 最近は「チーム医療」の進展で、医師や看護師だけでなく、管理栄養士、臨床工学技師、臨床検査技師、薬剤師、メディカル・ソーシャルワーカーなど、患者さんを中心に各専門家の力を集結して診療にあたるケースが増えています。腎不全の患者さんの場合もそうだと思います。そのメンバーがあなたに何を提供してくださるのか、確認しておくことをお勧めします。

「“よりよい関係づくりはあなたにも責任が」—サポーターを活用して、患者としての“任務”を果たそう!”

 患者としてのあなたが果たさなければならない任務、それは自分の病気や治療のことを理解する努力、理解できたら患者として実行しなければならないことはきっちりやる、ということです。薬は指示された通りに服用する。食事の制限があればそれを守る…。医療は、医療者側と患者側がお互いに努力し合って取り組んでいくもの、と前回お話しましたが、互いの努力が信頼感を醸成してこそ、望む医療へと近づいていけるのです。
 しかし、言うは易し‥‥実行は難しい場合も多いと思います。そんなときはちょっと周囲を見回してみましょう。
 現在、病院であなたを取り巻く医療者は、一人だけではないと思います。医師、看護師はもちろん、管理栄養士、臨床工学技師、臨床検査技師、薬剤師、メディカル・ソーシャルワーカーなど、チーム医療が進んだことによって、それぞれのプロフェッショナルがそれぞれの立場であなたをサポートしてくれていると思います。

「“よりよい関係づくりはあなたにも責任が」---サポーターを活用して、患者としての“任務”を果たそう!”

まず、それらの人たちの、名前・職種・役割を確認しましょう。たとえば、「○○さんは、管理栄養士さんですね。どんなことなら聞いてもいいですか?」と確かめておきます。医療者はよく「わからないことは何でも聞いてくださいね」と言ってくださいますね。実際、「患者さんから質問をいただくと、病気のこと、からだのことをちゃんと考えているのだな、とうれしくなります」とおっしゃる医療者の方は多いです。
 しっかりと把握して、活用、というとおかしいですが、疑問に思ったことはどしどし質問していきましょう。「食事制限がよくわからない」など、実行できない悩みにも、プロの経験からよいアイデアをもらえるかもしれません。わからないこと、守れないことを解決するサポーターになってもらいましょう。

「自覚症状と病歴はあなたを伝える大切な情報」—病歴は、あなたを雄弁に語ります

 ご自分の病歴をつくっていますか? いつ、どんな診断を受けたか、そして入院・手術・薬などの治療を記録しておきます。薬の副作用、アレルギーなどの体質も項目として加えてください。パソコンなどでつくっておけば、あとはアップデートしていくだけで常に最新の病歴を用意しておくことができます。初めてかかる病院や、別の科で診察を受けるときに持参するとよいでしょう。これによって医師はあなたについて、およそのことがわかります。
 あとは、そのときの自覚症状を正確に伝えるようにします。自覚症状は、「いつ・どこで・どこが・どんなふうに・変化した場合はその時期と様子」という項目でメモしておきます。「あとで」と思わず、気づいたときにすぐ記録してください。あとから記録しようとしても「いつだったかしら?」などと記憶はおぼろげになっていることが多いのです。
 私の場合、メモをしていて本当によかった、と思うことがありました。それは薬の副作用です。二つの病気で数種類の薬を飲んでいましたが、どうも調子が悪いのです。自覚症状の記録を医師に見せたら、それが薬の副作用とわかりました。

 次回は、「これからの見通しを聞きましょう」「その後の変化も伝える努力を」「大事なことはメモをとって確認」です。

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