~次々と刊行される診療ガイドライン~
CKDの診療体制が着々と整っています

2017年10月

 2012年、腎臓学会で「CKD診療ガイド2012」が刊行されたことは以前にお伝えしましたが、その後、次々と診療ガイドラインが発表されています。
 どんなものがあるのか一部をご紹介しますので、自分はどれなのか考えてみましょう。

どんな診療ガイドラインがあるのか

 まず慢性腎臓病(CKD)の治療で大切な食事療法や生活習慣病改善の基準を定めたものとして、「慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版」「CKD生活・食事指導マニュアル~栄養指導実践編~(2015)」、「医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル(2015)」があります。さらに糖尿病性腎症に関するもの、IgA腎症やネフローゼ症候群など慢性糸球体腎炎について、多発性嚢胞腎といった原疾患ごとの診療ガイドラインも用意され、また小児CKD やCKD患者の妊娠や出産についての診療ガイドラインなど、種類はさまざまです。

多くの分野にわたるCKD

 たくさんのガイドラインがあるのは、CKDとは腎機能の低下が慢性的に続く病気の総称であり、腎臓そのものが悪くなることもありますが、ほかの病気が原因となっていることが多いからです。CKDが進行して透析を導入した人の原因疾患での1位は糖尿病性腎症(43.7%)、2位が慢性糸球体腎炎(16.9%)、3位が腎硬化症(14.2%)(日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2015年)」より)で、このほかにも痛風腎や遺伝性の多発性嚢胞腎、アルポート症候群、ファブリ病などがあり、高血圧や心臓病、血液の病気も関係が深いといわれています。
 もっとも多い糖尿病性腎症は高血糖の状態が長期間続くことで腎臓を痛める病気です。次の慢性糸球体腎炎は腎臓そのものが悪くなる病気ですが、学校検尿の普及や治療の進どんな診療ガイドラインがあるのか歩により、透析導入に至る人は減っています。最近、増えている腎硬化症は、高血圧による動脈硬化が原因であり、高齢化が進んだことにより増加しています。

原疾患とCKDの治療を並行しておこなう

 このようにCKDにはさまざまな原疾患があり、それぞれ腎機能がどの程度維持されているのかによっても、治療法が違ってくるため、混乱してしまうこともあるようです。  そのためCKD の共通する治療について「CKD診療ガイド2012」がまとめられ、その後、さまざまな分類ごとのガイドラインがまとめられてきました。これにより多くの分野にわたるCKDの治療を、かかりつけ医のもとで治療できる体制が整えられてきました。大切なことは、自分の原疾患を知り、その治療をきちんと継続しながら、腎機能が低下したときに共通するCKD の治療を原疾患と同時におこなっていくことです。


※「2017年10月号そらまめ通信」より

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