~健康を決める力~ヘルスリテラシー~
患者中心の意思決定に必要な情報とは

2018年12月

「健康を決める力」といわれるヘルスリテラシー、健康や病気について必要な情報を得て自分で活用する能力のことです。10月17日、製薬協主催のセミナーでおこなわれた聖路加国際大学の中山和弘教授の講演から、一部を紹介します。

後悔しない意思決定をするために

 治療法を決めるときに、医療者と相談しながら、患者自身が選択するケースが多くなっていますが、中山和弘先生は、実際には患者が治療法を決められないことも多く、その原因を3つあげられました。まず患者が選択できる治療法のすべてを知らないこと。治療法の選択肢について知っていても、それぞれの治療法の長所と短所をきちんと理解していないこと。そして一番大きな原因は、患者が「自分の価値観」をきちんと把握していないことだといいます。
 腎不全の治療法を選ぶときにも、血液透析、腹膜透析、腎臓移植の3つの選択肢があることを知らないまま、治療法を選んでいる人も多いようです。さらに3つの治療法について説明は聞いたものの、そのメリット・ディメリットをきちんと把握していない人。そして「自分の価値観」を大切にしているか。医療者や家族の判断に流されて治療法を選んでいる人も多いようです。中山先生はさまざまな疾患ごとの専門医と協力し意思決定を支援するツールの開発に取り組んでおられます。ひとつひとつ記入していくことで、治療法の長所短所を知ると同時に、自分がどうしても譲れないものは何か、我慢できることは何かが自然に見えてくるための支援ツールです。腎不全治療についてはまだ作られていないようですが、当協会では同様なツールとして、リーフレット「腎不全とその治療法」を会員の方にお配りしています。この中味は、毎日のささいなことでも、ひとつひとつ向き合って自問することで、自分が大事にしているものが見えてくるように作られています。実際、「腎不全とその治療法」に記入することによって情報を整理することができ、医師や看護師、家族や友人に相談しやすくなり、自分の価値観とあう治療法を選ぶことができたという声も寄せられています。

健康情報は「い・な・か・も・ち」でチェック

 さらに中山先生は、普段の情報収集にも注意が必要といいます。健康や病気については新聞や雑誌、書籍やインターネット上に膨大な情報がありますが、それぞれの情報の良しあしを判断し、理解したうえで使っているかどうかというと、そうとばかりはいえないようです。きちんとした情報かどうか判断するために中山先生が勧められるのが「い・な・か・も・ち」です。その情報が「い」つ書かれたか、「な」んのために書かれたか、「か」いた人は誰か、「も」とネタ(根拠)は何か、「ち」がう情報と比べたか、それぞれの頭文字をとったのが「いなかもち」で、文字を入れ替えると「かちもない」になることから、この5つをチェックしない情報には価値がないということだそうです。中山先生の講演を聞き、サポート協会も「いなかもち」でさらに信頼できる情報を厳選しお届けしなくてはと感じました。そして会員の方々のヘルスリテラシーに貢献し、自分の健康を決める力を高めていただきたいと思います。

いつ?

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※「2018年12月号そらまめ通信」より

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