「腹膜透析(PD)について国内初の診療ガイドラインが発表される」
2009年4月28日、日本中の透析医が所属する日本透析医学会のホームページ上に、「2009年版 日本透析医学会 腹膜透析(PD)ガイドライン」が公示されました。
医療における診療ガイドラインとは、医師や医療スタッフが、患者さんの治療にあたって指針とする文書のことで、適切な治療を提供する上で、大変、重要なものです。診療ガイドラインは、数多くの研究者が集い、それまで蓄積された膨大な医療情報から、最良の科学的知見を総合して作られるとても権威の高いものです。
腹膜透析(PD)は、血液透析(HD)とならび、30年近く実績のある治療法ですが、意外なことに、国内で独立した診療ガイドラインが作成されたのは初めてのことでした。この発表により、医師個人の経験則に頼りがちであった腹膜透析(PD)治療が、日本全国どこでも一定の、質の高い水準で受けられるようになり、腹膜透析(PD)のより一層の普及が期待されます。
腹膜透析(PD)は、血液透析(HD)や腎臓移植 にならぶ腎不全治療の1つです。しかし、残念なことに治療に対する評価に偏りがあり、現在でも一部の施設で提供されているに過ぎず、普及率は腎不全医療全体の4%弱にとどまっています。これは主要各国に比べて低水準であり、世界平均の半分にも届いていません。
腹膜透析(PD)には、在宅治療でQOLの高いことや、腎臓の機能を保護するという治療上の明確なメリットがあります。普及率が低くとどまっていることは、治療の選択肢を狭めることにつながり、腎不全患者さんにとって良いこととはいえません。
そのような状況を鑑み、新ガイドラインでは、「インフォームドコンセント」の充実が明確に謳われています。その意図は、腎不全患者さんに、腹膜透析(PD)、血液透析(HD)、腎臓移植 の三つの腎不全治療について、医学的なメリットとデメリットと、透析導入後のライフスタイルについて十分な情報提供を行い、じっくり考えた上で患者さんに治療を選択してもらおう、ということにあります。これには、透析医療が終生に亘り長く付き合う治療法であり、患者さんが未来設計も踏まえて主体的に治療法を選ぶ意味が大きい、ということも大きく関係しています。
新ガイドラインの発表により、腹膜透析(PD)が「標準的」な治療として医療者に認識され、「あたりまえ」の治療として患者さんに提供されることが強く望まれます。

